「寝たきりの母をお風呂に入れてあげたいけれど、家族だけでは無理…」——そんなときに頼れるのが訪問入浴介護です。専用の浴槽を自宅に運び込み、プロが安全に入浴させてくれるサービスです。
結論から言うと、訪問入浴は看護師を含む2〜3人のスタッフが自宅を訪問し、専用浴槽で入浴の全介助をしてくれるサービス。介護保険で1〜3割負担で使え、費用の目安は1回1,250円前後(1割負担)です。寝たきりや、自宅の浴室での入浴が難しい方に向いています。
私は病院MSWとして17年間、退院後の在宅ケアの相談に数多く関わってきました。この記事では、訪問入浴の内容・費用・対象者・使い方まで、やさしく解説します。
「寝たきりの父を、もう1か月もお風呂に入れてあげられていません。清拭だけでは可哀想で…」——80代のお父様を在宅介護する娘さんからのご相談。訪問入浴を導入したところ、週2回、看護師さんが体調を見ながら安全に入浴させてくれるように。お父様が湯船で「気持ちいい」と笑顔を見せ、娘さんも涙ぐんでいました。入浴は、体を清潔にするだけでなく心も癒すのです。
訪問入浴介護とは?
訪問入浴介護は、専用の浴槽を積んだ車で自宅を訪問し、その場で組み立てた浴槽で入浴を介助するサービスです。通常は看護師1名+介護スタッフ2名の計3名(事業所により2名の場合も)で対応します。
入浴前に看護師が血圧・体温・脈拍をチェックし、その日入浴できる体調かを確認。安全を最優先に、体を洗い、湯船につかり、着替えまで全介助してくれます。訪問看護やデイサービスの入浴と違い、ベッドのそばまで浴槽を持ってきてくれるのが最大の特徴です。
こんな人に向いている
- 寝たきり・体を起こすのが難しい
- 自宅の浴室が狭い・段差があって入れない
- デイサービスに通うのが体力的に難しい
- 医療的なケアが必要で、入浴中も看護師に見てほしい
- 家族だけの入浴介助が限界
費用はいくら?
介護保険を使い、自己負担は1〜3割です。1回あたりの目安は次のとおりです。
| 負担割合 | 1回あたりの目安(全身浴) |
|---|---|
| 1割負担 | 約1,250円 |
| 2割負担 | 約2,500円 |
| 3割負担 | 約3,750円 |
要支援の方向けの「介護予防訪問入浴介護」は、やや料金が異なります。また、体調により部分浴・清拭になった場合は料金が下がります。
当日の流れ
- スタッフ訪問・準備——浴槽を室内に運び込み、給湯
- 健康チェック——看護師が血圧・体温などを確認
- 入浴——体を洗い、湯船へ。全身浴が難しければ部分浴に切り替え
- 着替え・整容・後片付け——保湿や爪切りなどのケアも
- 入浴後の確認——体調を再チェックして終了(所要45分〜1時間程度)
利用するには?【使い方】
まずケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらいます。要介護認定を受けていない場合は要介護認定の申請から。相談先が分からないときは地域包括支援センターへ。
なお、入浴以外の「話し相手」「買い物」「通院の付き添い」などは訪問入浴の対象外です。そうした部分は介護保険外サービスで補うと、在宅生活がより安定します。
よくある質問
Q. 水道や電気は自宅のものを使いますか?
お湯は自宅の給湯を使うのが一般的で、水道・電気代は利用者負担になります(1回あたり数十円程度)。事業所が給湯設備を持参する場合もあります。事前に確認しましょう。
Q. 医療的ケアが必要でも入れますか?
看護師が同行するため、たんの吸引が必要な方や、点滴・カテーテルのある方でも、主治医の許可があれば対応できることが多いです。まずは事業所に相談してください。
Q. どのくらいの頻度で使えますか?
週1〜2回が一般的ですが、ケアプランと支給限度額の範囲で調整できます。体調や希望に合わせてケアマネと相談しましょう。
まとめ|この記事のポイント
最後に、この記事のポイントをおさらいします。
- 訪問入浴は専用浴槽を自宅に運び、看護師含む2〜3人が入浴を全介助
- 費用は1回1,250円前後(1割負担)。介護保険で使える
- 寝たきり・自宅浴室が使えない・デイに通えない方に向く
- 看護師が健康チェックするので、医療的ケアがある方も相談可
- 使うにはケアマネに相談。入浴以外は保険外サービスで補う
お風呂は、体を清潔にするだけでなく、本人にとって大きな楽しみであり、心の安らぎでもあります。「家族だけでは無理」と抱え込まず、プロの手を借りて、大切な人に気持ちのいい時間を届けてあげてください。
