「退院後、家で点滴や医療的なケアが必要と言われた」「一人暮らしの親の健康管理が心配」——そんなときに頼りになるのが訪問看護です。
結論から言うと、訪問看護とは看護師などが自宅を訪問して、療養のお世話や診療の補助をしてくれるサービスです。介護保険または医療保険が使え、自己負担は1回あたり数百円〜1,500円ほど。主治医の指示があれば、赤ちゃんから高齢者まで誰でも利用できます。
私は病院MSWとして17年間、退院する患者さんと訪問看護をつなぐ調整を数えきれないほどしてきました。この記事では、訪問看護でできること・訪問介護との違い・費用・使い方までやさしく解説します。
「退院はできるけれど、家で毎日インスリン注射と床ずれの処置が必要。家族だけでは不安です」——80代のお母様を介護する娘さんからのご相談。週3回の訪問看護を導入したところ、看護師さんが処置と体調チェックをしてくれるようになり、「見てくれる人がいる」という安心感で、娘さんの表情がやわらぎました。
訪問看護でできること
訪問看護は「医療」と「生活」の両面から在宅療養を支えます。主なサービスは次のとおりです。
- 健康状態のチェック——血圧・体温・脈拍の測定、病状の観察
- 医療的な処置——点滴・注射・床ずれ(褥瘡)の手当て・管の管理など
- 服薬の管理——薬の飲み忘れ防止、飲み合わせの確認
- 療養上のお世話——入浴・清拭・排せつの介助
- リハビリ——理学療法士などによる自宅でのリハビリ
- 看取りの支援——終末期を自宅で過ごすためのケアと家族の相談
「家族の相談に乗ってくれる」のも大きな役割です。急変時の対応や、主治医との橋渡しもしてくれるので、在宅介護の心強い味方になります。
訪問看護と訪問介護の違い
名前が似ていて混同されがちですが、役割はまったく違います。ひとことで言うと「看護=看護師による医療」「介護=ヘルパーによる生活援助」です。
| 訪問看護 | 訪問介護(ヘルパー) | |
|---|---|---|
| 担当 | 看護師・保健師・リハビリ職 | ホームヘルパー |
| できること | 点滴・注射・床ずれ処置など医療行為 | 掃除・調理・入浴介助など生活援助 |
| 必要なもの | 主治医の指示書が必要 | ケアプランがあれば利用可 |
訪問介護との使い分けは訪問介護とデイサービスの違いもあわせてどうぞ。
費用はいくら?介護保険と医療保険の使い分け
結論:要介護認定を受けている高齢者は「介護保険」、それ以外や特定の病気は「医療保険」を使います。どちらになるかは主治医とケアマネが判断してくれるので、利用者が悩む必要はありません。
| 介護保険 | 医療保険 | |
|---|---|---|
| 対象 | 要支援・要介護の認定を受けた人 | 認定のない人・末期がん・難病など |
| 自己負担 | 1回約300〜1,500円(1割の場合) | 1〜3割負担 |
訪問看護の使い方【3ステップ】
- 主治医またはケアマネ・病院の相談室に相談する——「訪問看護を使いたい」と伝えればOK
- 訪問看護ステーションが決まり、契約する——主治医が「訪問看護指示書」を出します
- 看護師が定期訪問を開始——週何回・1回何分かはケアプランで調整。24時間対応の事業所もあります
どこに相談すればいいか分からないときは、まず地域包括支援センターへ。入院中なら病院のMSWが退院前に手配してくれます。
訪問看護で「頼めないこと」もある
訪問看護はあくまで医療的なケアが中心です。次のような「生活のちょっとした困りごと」は対象外になります。
- 話し相手になってほしい・散歩に付き添ってほしい
- 買い物や役所の手続きを代わりにやってほしい
- 通院に付き添ってほしい(院内の介助は原則対象外)
こうした「制度のすき間」は、介護保険外サービスで補うのが現実的です。訪問看護(医療)+訪問介護(生活援助)+保険外サービス(すき間)を組み合わせると、在宅の暮らしがぐっと安定します。
「訪問看護では頼めないこと」を補いたい方へ
✅ 話し相手・見守り・買い物などの生活サポート
✅ 通院の付き添いにも対応
✅ 介護保険の枠を気にせず必要な分だけ
✅ 相談は無料
よくある質問
Q. 訪問看護は誰でも使えますか?
主治医が「訪問看護が必要」と判断すれば、年齢や病気を問わず利用できます。要介護認定がなくても、医療保険で使えるケースがあります。
Q. 夜中や急変時も来てくれますか?
「24時間対応」の訪問看護ステーションなら、夜間・緊急時も電話相談や緊急訪問に対応してくれます。契約時に24時間対応かどうかを確認しておくと安心です。
Q. 家族が仕事で不在でも利用できますか?
できます。むしろ日中独居の高齢者の見守りとして、訪問看護は大きな役割を果たします。鍵の預かり方法なども事業所と相談できます。
まとめ|この記事のポイント
最後に、この記事のポイントをおさらいします。
- 訪問看護は看護師が自宅を訪問して医療的ケアと療養支援をするサービス
- 訪問介護(ヘルパーの生活援助)とは違い、点滴・注射・床ずれ処置などの医療行為ができる
- 費用は1回数百円〜1,500円ほど。要介護なら介護保険、それ以外は医療保険
- 使い方は主治医・ケアマネ・病院の相談室・地域包括支援センターに相談するだけ
- 話し相手や買い物などの生活のすき間は保険外サービスで補うと在宅が安定する
「家で診てくれる人がいる」——それだけで、在宅介護の不安は大きく減ります。訪問看護は、その安心を届けてくれる制度です。迷ったら、まず主治医か地域包括支援センターに聞いてみてください。
