「母の認定結果が『要支援2』でした。これって介護が必要ということ?要介護と何が違うの?」——認定通知を受け取った家族が、最初に戸惑うポイントです。
結論から言うと、要支援は「予防のための部分的な支え」、要介護は「日常的な介護が必要な状態」です。区分は全部で7段階あり、使えるサービスの種類も、月に使える金額も、相談する窓口も違います。
元病院MSW(医療ソーシャルワーカー)として17年、認定結果に悩むご家族を数えきれないほど見てきました。この記事を読めば、要支援と要介護の違い・7段階の目安・判定に納得できないときの対処法まで分かります。
「父が要支援1と判定されました。ヘルパーさんに毎日来てもらえると思っていたのに、週1回程度しか使えないと言われ困っています」——70代のお父様を持つ娘さんからのご相談。要支援は「自立を支える予防」が目的のため、使える量に限りがあります。足りない部分は保険外サービスや配食・見守りを組み合わせて、無理のない形を一緒に整えました。
要支援と要介護の違い【7段階の一覧表】
介護保険の認定は、軽い順に要支援1・2 → 要介護1〜5の7段階です。ざっくり言うと「要支援=見守りや一部の手助けがあれば自分で生活できる」「要介護=日常生活のどこかで常に介護が必要」という線引きです。
| 区分 | 状態の目安 |
|---|---|
| 要支援1 | ほぼ自立。家事などに一部支えが必要 |
| 要支援2 | 立ち上がりや歩行にふらつき。予防すれば改善が見込める |
| 要介護1 | 身の回りのことに部分的な介助が必要 |
| 要介護2 | 食事・排せつなどにも一部介助が必要 |
| 要介護3 | ほぼ全面的な介助が必要(特養の申込みライン) |
| 要介護4 | 介助なしでは日常生活が困難 |
| 要介護5 | 寝たきりなど、全面的な介護が必要 |
何が違う?おさえるべき3つのポイント
結論:違いは「使える制度」「使える金額」「相談する相手」の3つです。
- ①使える制度が違う——要支援は「介護予防サービス」(悪化を防ぐのが目的)、要介護は「介護サービス」(生活を支えるのが目的)。要支援では原則使えないサービス(施設入所など)があります
- ②月に使える金額が違う——介護保険で使える上限は、要支援1で月約5万円分、要介護5では月約36万円分と大きな差があります(自己負担は所得により1〜3割)
- ③ケアプランを作る人が違う——要支援は地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します
「要支援」と判定されたらできること
要支援でも、次のようなサービスが使えます。担当の地域包括支援センターと相談しながら組み立てましょう。
- 介護予防型のデイサービス(体操・リハビリ中心)
- ホームヘルプ(掃除・買い物などの生活援助。回数に上限あり)
- 福祉用具のレンタル(歩行器・手すりなど一部)
- 住宅改修の補助(手すり設置・段差解消に最大20万円)
「保険の枠だけでは足りない」と感じたら、介護保険外サービスで補うのが現実的です。
「思ったより軽く判定された」ときの対処法
「本当は要介護レベルなのに要支援になった」——これもよくあるご相談です。納得できない場合の対処は2つあります。
- 区分変更申請をする——状態が変わったときはいつでも再判定を申請できます。実務ではこちらが早くて現実的です
- 不服申立て(審査請求)をする——制度上は可能ですが、結果まで数か月かかるためあまり使われません
コツは、認定調査のときに「いちばん調子が悪い日の様子」を具体的に伝えること。本人は調査員の前で頑張ってしまいがちなので、家族が日頃の様子をメモして同席するのがおすすめです。詳しくは要介護認定の申請方法で解説しています。
「要支援だと使えるサービスが足りない…」そんなときの選択肢
✅ 介護保険の枠を気にせず、必要な分だけ頼める
✅ 話し相手・見守り・家事や買い物のサポートもOK
✅ 通院の付き添いにも対応
✅ 相談は無料
よくある質問
Q. 要支援でも施設に入れますか?
特養(特別養護老人ホーム)は原則要介護3以上が対象のため入れません。ただし、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、要支援でも入れる住まいはあります。老後の住まいの選び方を参考にしてください。
Q. 認定はずっと同じですか?
有効期間(新規は原則12か月、更新は最長48か月)ごとに見直されます。状態が変われば期間の途中でも区分変更申請ができます。
Q. 「非該当(自立)」だったら何も使えませんか?
介護保険サービスは使えませんが、市区町村の「総合事業」(体操教室・見守り・配食など)が使える場合があります。あきらめる前に地域包括支援センターに相談してみてください。
まとめ|この記事のポイント
最後に、この記事のポイントをおさらいします。
- 認定は要支援1・2+要介護1〜5の7段階。要支援=予防、要介護=日常的な介護
- 違いは「使える制度」「月の上限額(約5万〜36万円分)」「相談窓口」の3つ
- 要支援の相談先は地域包括支援センター、要介護はケアマネジャー
- 予防に一番効くのは要支援の時期。軽いからと放置しない
- 判定に納得できないときは区分変更申請。調査時は「悪い日の様子」を家族から伝える
認定結果は「ゴール」ではなく、支援を組み立てる「スタートライン」です。書類の言葉に振り回されず、今の暮らしに何が必要かを軸に考えていきましょう。迷ったら地域包括支援センターへ。それだけで道が開けます。
