
「親が亡くなったけれど、何から手をつければいいのかわからない」



「葬儀のほかにも手続きが多く、期限を過ぎないか不安」
大切な人を亡くした直後は、気持ちが追いつかないまま、さまざまな判断を求められます。一度に全部を終わらせようとしなくて大丈夫です。
まずは期限の短い手続きから、一つずつ進めましょう。
社会福祉士・医療ソーシャルワーカーとして約20年、患者さんとご家族の入退院支援に関わってきた経験をもとに、親が亡くなった後の主な手続きを時系列で整理します。
最初に覚えておきたい期限
死亡届は7日以内、相続放棄は原則3か月以内、準確定申告は必要な場合に4か月以内、相続税の申告・納税は必要な場合に10か月以内です。
※必要な手続きは、家族構成、加入していた保険や年金、財産、自治体によって異なります。判断に迷う場合は、市区町村、年金事務所、税務署、家庭裁判所、法務局や各専門家へ確認してください。
親が亡くなった後の手続き一覧
| 目安 | 主な手続き | 確認先 |
|---|---|---|
| すぐ | 死亡診断書の受け取り、家族・葬儀社への連絡 | 医療機関・葬儀社 |
| 7日以内 | 死亡届、火葬許可申請 | 市区町村 |
| 10日・14日以内が目安 | 年金の死亡届(必要な場合) | 年金事務所・市区町村 |
| 14日以内が目安 | 健康保険、介護保険などの資格喪失・返却 | 市区町村・勤務先等 |
| できるだけ早く | 世帯主変更、公共料金、携帯電話、保険など | 市区町村・各事業者 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認の検討 | 家庭裁判所 |
| 4か月以内 | 準確定申告(必要な人) | 税務署 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納税(必要な人) | 税務署 |
| 3年以内 | 相続登記(不動産を取得した人) | 法務局 |


親が亡くなった直後にすること
1.死亡診断書または死体検案書を受け取る
病院で亡くなった場合は医師から死亡診断書が発行されます。自宅などで亡くなり、医師が死亡の経過を確認できない場合は、死体検案書となることがあります。
死亡診断書は死亡届と一体になっており、保険金や相続など、その後の手続きで写しを求められる場合があります。提出前にコピーを複数枚取っておくと安心です。
2.葬儀社へ連絡し、搬送先を決める
病院の霊安室を長時間利用できないこともあるため、葬儀社や搬送先を決めます。慌てて高額な契約をせず、可能であれば次の点を確認しましょう。
- 搬送費や安置費用を含む総額
- 希望する葬儀形式と追加料金
- 火葬までの日数と安置場所
- キャンセルや変更の条件
家族だけで判断しづらいときは、「今すぐ決める項目」と「後で決められる項目」を葬儀社に確認してください。
3.家族内で連絡係と記録係を決める
同じ説明を何度もしたり、兄弟姉妹で認識がずれたりしないよう、連絡係と記録係を決めると負担を減らせます。
ノートやスマートフォンに、次の内容を残しておきましょう。
- 連絡した相手と日時
- 支払った費用と領収書
- 預かった書類の保管場所
- 今後の期限と担当者
7日以内に行う手続き
死亡届を市区町村へ提出する
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します。提出先は、亡くなった方の死亡地・本籍地、または届出人の所在地の市区町村です。
通常は、死亡届とあわせて火葬許可申請を行います。葬儀社が提出を代行することも多いため、誰が提出するかを確認してください。
10日・14日以内を目安に確認すること
年金の死亡届と未支給年金を確認する
日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合、年金受給権者死亡届は原則不要です。ただし、未支給年金の請求などは別に手続きが必要です。
死亡届が必要な場合は、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内が目安です。亡くなった月分までの未支給年金を、生計を同じくしていた遺族が請求できる場合があります。
健康保険証・介護保険証などを返却する
亡くなった方が加入していた制度に応じて、次の窓口へ確認します。
- 国民健康保険・後期高齢者医療:市区町村
- 会社の健康保険:勤務先または健康保険組合
- 介護保険:市区町村の介護保険担当窓口
自治体によっては、葬祭費などの給付を申請できる場合があります。期限や必要書類もあわせて確認しましょう。
世帯主変更届が必要か確認する
亡くなった方が世帯主だった場合、残された世帯員の状況によって世帯主変更届が必要になることがあります。死亡届の提出時に、市区町村の窓口で確認するとスムーズです。


できるだけ早く整理する契約や支払い
次の契約は、解約、名義変更、支払方法の変更などが必要です。
- 電気・ガス・水道
- 携帯電話・固定電話・インターネット
- NHK・新聞・定期購入
- クレジットカード
- 賃貸住宅・駐車場
- 生命保険・損害保険
- 運転免許証・パスポート
ただし、財産や負債がはっきりしない段階で、故人の預金を引き出したり、物を処分したりすると、相続放棄を検討する際に問題になる可能性があります。
「借金があるかもしれない」「相続放棄を考えている」という場合は、遺品や預金を大きく動かす前に、家庭裁判所や弁護士・司法書士へ相談してください。
3か月以内|相続放棄を検討する
相続では、預貯金や不動産だけでなく、借金や未払い金などの負債も引き継ぐ可能性があります。
相続放棄は、原則として「自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内」に、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てます。
財産の全体像がわからないときは、次の資料を集めましょう。
- 預貯金通帳・証券口座
- 不動産の固定資産税通知書・登記事項証明書
- 保険証券
- 借入金・ローン・カードの明細
- 税金や公共料金の未払い通知
- 遺言書
3か月は、葬儀や各種届出をしている間に過ぎてしまいやすい期限です。借金の有無が不明な場合や家族関係が複雑な場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
4か月以内|準確定申告が必要か確認する
亡くなった方に確定申告の義務があった場合、相続人などが代わって申告する「準確定申告」が必要です。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
たとえば、次のような場合は確認が必要です。
- 個人事業や不動産収入があった
- 給与収入が2,000万円を超えていた
- 複数の勤務先から給与を受け取っていた
- 多額の医療費を支払っており、還付を受けられる可能性がある
申告の要否がわからないときは、亡くなった方の源泉徴収票や確定申告書の控えを用意し、税務署または税理士へ確認してください。
10か月以内|相続税の申告・納税を確認する
相続税は、すべての人にかかるわけではありません。遺産の課税価格の合計が、次の基礎控除額を超える場合に申告が必要となる可能性があります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、法定相続人が3人なら、基礎控除額は4,800万円です。
相続税の申告と納税の期限は、原則として死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、期限は延びないため注意が必要です。
不動産、非上場株式、生前贈与などがある場合は計算が複雑になりやすいため、早めに税務署や税理士へ相談しましょう。
不動産がある場合|相続登記は3年以内
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。
遺産分割がまとまらず期限内の登記が難しい場合には、「相続人申告登記」という制度もあります。詳しくは、法務局や司法書士へ確認してください。
手続きを進めるときの5つのコツ
1.期限が短いものから進める
最初は「7日・3か月・4か月・10か月」の期限をカレンダーへ登録します。すべてを同時に処理する必要はありません。
2.書類は一つのファイルにまとめる
死亡診断書の写し、戸籍、領収書、契約書、通帳のコピーなどを分類して保管します。原本を誰が持っているかも記録しましょう。
3.兄弟姉妹とは作業を具体的に分担する
「手伝って」だけでは役割が曖昧になります。
- 市区町村の手続き
- 保険会社への連絡
- 財産・負債の確認
- 実家の管理
- 葬儀費用の記録
このように作業単位で担当を決めると、負担が一人に集中しにくくなります。
4.故人のメールや書類をすぐ処分しない
契約や財産を確認する手掛かりになるため、一定期間は保管してください。スマートフォンやパソコンの初期化も、必要な情報を確認してから行いましょう。
5.迷ったら専門窓口を使う
| 困りごと | 主な相談先 |
|---|---|
| 戸籍・保険・介護保険 | 市区町村 |
| 年金 | 年金事務所・年金相談センター |
| 相続放棄 | 家庭裁判所・弁護士・司法書士 |
| 相続税・準確定申告 | 税務署・税理士 |
| 相続登記 | 法務局・司法書士 |
| 家族間の争い | 弁護士 |


よくある質問
- 親が亡くなった後、銀行口座から葬儀費用を引き出してもいいですか?
-
相続放棄を考えている場合、故人の財産を処分する行為が影響する可能性があります。また、金融機関が死亡を知ると口座が凍結されることがあります。自己判断で動かさず、金融機関や専門家へ確認してください。
- 遺言書を見つけたら開封してもいいですか?
-
自宅などで見つけた自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認が必要となる場合があります。封印された遺言書を勝手に開封せず、家庭裁判所へ確認してください。法務局で保管されていた自筆証書遺言は、検認が不要です。
- 手続きが多すぎて、何から始めればいいですか?
-
まずは死亡届と火葬許可を確認し、次に3か月以内の相続放棄を意識してください。そのうえで、年金・保険・契約・税金を一覧にし、家族で分担すると進めやすくなります。
まとめ|全部を一人で抱えず、期限順に進めよう
親が亡くなった後は、悲しむ時間も十分に取れないまま、葬儀や行政、相続の手続きが続きます。
大切なのは、最初から完璧に進めることではありません。
- 死亡届など期限の短い手続きを確認する
- 財産と負債を調べる
- 3か月・4か月・10か月の期限を記録する
- 家族と作業を分担する
- 判断に迷う内容は専門家へ相談する
一つずつ終えれば大丈夫です。気持ちや体調がつらいときは、手続きの整理だけでも家族や支援者に頼ってください。
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公開前に確認すること
- 自治体ごとに異なる手続きは断定せず、地域の窓口確認を促す
- 関連記事ブロックをまとめ直前に設置する
- 相談フォームへの導線は「情報整理のお手伝い」とし、法律・税務判断を行う表現は避ける
- アイキャッチは「明るく優しい雰囲気」で、書類を確認する40〜50代の家族を描く
参考にした公的情報
- 法務省「死亡届」 https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html
- 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
- 国税庁「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
- 国税庁「相続税がかかる場合」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
- 法務局「相続登記が義務化されました」 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html







