「親を老人ホームに入れたいけど、月々いくらかかるのか全くわからない」「年金だけで払えるの?」——そんな不安を抱えるご家族の方に向けて、老人ホームの費用の全てをお伝えします。
元医療ソーシャルワーカー(MSW)として20年間、施設選びをサポートしてきた経験から、種類別の月額費用・年金だけで払えるかの目安・費用を安くする公的制度を徹底解説します。
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老人ホームの費用は月々いくら?種類別相場一覧
老人ホームの費用は施設の種類によって月5万円〜40万円以上と非常に幅が広いです。まず「どの施設を選ぶか」によって費用が大きく変わることを理解してください。
| 施設の種類 | 月額費用の目安 | 入居一時金 | 主な対象者 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 5〜15万円 | なし | 要介護3以上 | 公的施設で最もコスパ高。待機期間が長い(平均2〜3年) |
| 介護老人保健施設(老健) | 8〜15万円 | なし | 要介護1以上 | リハビリ目的。在宅復帰を目指す方向け。長期入所は難しい |
| グループホーム | 12〜20万円 | 0〜100万円 | 認知症の方 | 少人数で家庭的。認知症専門ケアが受けられる |
| 住宅型有料老人ホーム | 10〜30万円 | 0〜500万円 | 自立〜要介護 | 介護度が低い方向け。自由度高い。介護サービスは外部委託 |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜40万円 | 0〜数千万円 | 要介護1以上 | 24時間介護対応。施設内で介護が完結。充実したサービス |
| サービス付き高齢者住宅(サ高住) | 10〜25万円 | なし〜数十万円 | 自立〜要介護 | 賃貸住宅として入居。安否確認・生活相談が基本サービス |
年金だけで老人ホームの費用は払えますか?
「年金だけで老人ホームに入れるか?」は、最もよく相談される質問の一つです。答えは「施設の種類と年金額による」です。
年金額別の入居可能施設
| 月々の年金額(手取り) | 入居可能な施設の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 5万円未満 | 特養(低所得者向け負担軽減あり) | 負担軽減制度(補足給付)の申請が必須 |
| 5〜10万円 | 特養・老健・グループホームの一部 | 貯蓄が必要。補足給付で負担軽減できる場合も |
| 10〜15万円 | 特養・老健・グループホーム・安価なサ高住 | 年金だけで賄える可能性がある範囲 |
| 15〜20万円 | 大多数の施設に対応可能 | 住宅型有料老人ホームの多くで入居可能 |
| 20万円以上 | ほぼ全施設に対応 | 介護付き有料老人ホームの中級も検討できる |
日本の老齢年金の平均受給額は、国民年金のみの方で月約5万6千円、厚生年金加入者で月約14万4千円(厚生労働省2024年版)です。厚生年金がある方なら特養・老健への入居は年金内で賄えるケースが多いです。
年金が少なくても使える「補足給付制度」
住民税非課税世帯の方が特養・老健・ショートステイを利用する場合、食費・居住費の自己負担が大幅に軽減される「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という制度があります。
| 所得段階 | 食費の上限(1日) | 居住費の上限(1日) | 月額負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 第1段階(生活保護受給者等) | 300円 | 0〜820円 | 約1〜2万円 |
| 第2段階(年金80万円以下等) | 390円 | 370〜820円 | 約2〜3万円 |
| 第3段階①(年金120万円以下等) | 650円 | 370〜1,310円 | 約3〜5万円 |
| 第3段階②(住民税非課税・上記以外) | 1,360円 | 370〜1,310円 | 約5〜8万円 |
老人ホームの費用を安くする方法5つ
①特別養護老人ホーム(特養)を第一選択にする
特養は公的施設で月5〜15万円と最もコスパが高く、低所得世帯には補足給付も適用されます。ただし要介護3以上が入居条件で、待機期間が平均2〜3年かかります。「将来のために今から申請だけしておく」という戦略が有効です。複数の特養に同時申請できるので、3〜5か所に申請しておきましょう。
②高額介護サービス費制度を活用する
1ヶ月の介護保険サービスの自己負担が一定額を超えた場合に払い戻される制度です。一般世帯(住民税課税)では月の上限が44,400円です。申請を忘れている方が多く、知っているだけで毎月数万円戻ってくる場合があります。
③入居一時金0円の施設を選ぶ
有料老人ホームでは入居一時金が0〜数千万円と幅があります。入居一時金は「前払い家賃」の性格があり、短期間で亡くなった場合は返金されますが、リスクがあります。「入居一時金0円・月額費用少し高め」という施設も増えているため、比較検討することをおすすめします。
④郊外・地方の施設を選ぶ
同じ施設種別でも、都心と郊外では月5〜10万円の差があります。家族が頻繁に面会できる距離を確保しつつ、交通アクセスのよい郊外施設を選ぶことで費用を抑えられます。
⑤無料の施設紹介サービスを使う
老人ホームの種類・費用・立地を比較するのは家族だけでは大変です。無料の施設紹介サービスでは、家族の状況・予算・希望に合った施設を専門家が提案してくれます。費用は一切かかりません(施設側が払う仕組み)。
老人ホームの入居一時金とは?返還ルールも解説
有料老人ホームには「入居一時金」が必要な施設があります。0円〜数千万円と幅が大きく、費用全体を比較する際に重要なポイントです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入居一時金の性質 | 前払い家賃(居住権の対価)。入居後の月額費用を低く抑えるための前払い |
| クーリングオフ | 入居後90日以内に退去した場合、入居一時金は全額返還される(特定施設) |
| 償却期間 | 通常5〜10年。入居期間に応じて費用として計上され、残額は返還される |
| 注意点 | 施設が倒産した場合の返還リスクあり。保全措置の有無を契約前に確認 |
老人ホームの種類を選ぶポイント
費用だけで施設を選ぶと後悔することがあります。「介護度」「認知症の有無」「医療依存度」「家族の面会頻度」の4つを軸に選ぶのが元MSWとしての推奨です。
| 状況 | おすすめの施設 | 理由 |
|---|---|---|
| 要介護3以上・費用を抑えたい | 特別養護老人ホーム(特養) | 公的施設で最も費用が低く安定 |
| 退院後にリハビリが必要 | 介護老人保健施設(老健) | リハビリ専門職が充実 |
| 認知症がある・少人数の環境を希望 | グループホーム | 認知症専門ケア・家庭的な環境 |
| まだ自立度が高い・自分らしく生きたい | 住宅型有料老人ホーム・サ高住 | 自由度が高く、外部サービスを自分で選べる |
| 医療依存度が高い・24時間看護が必要 | 介護付き有料老人ホーム(医療対応型) | 施設内で医療処置が可能な施設を選ぶ |
よくある質問
Q. 老人ホームの費用は誰が払うのですか?
A. 基本的には入居者本人の年金・預貯金から支払われます。本人の資産で賄えない場合、子どもが援助するケースもありますが法的な義務はありません。生活保護を受けている場合は特養への入居が可能で、費用は生活保護費から支払われます。
Q. 入居した後に施設を変えることはできますか?
A. 可能です。ただし入居一時金がある施設では、退去時に未償却分のみ返還されます。また新しい施設に空きがない場合もあります。「とりあえず入れる施設に入って、希望施設が空いたら移る」という方法も一般的です。
Q. 夫婦で同じ施設に入れますか?
A. 2人部屋がある施設や、夫婦入居を受け入れている施設に申し込めば可能です。ただし介護度が異なる場合、対応できる施設が限られます。夫婦入居を希望する場合は、施設探しの段階で明確に伝えて対応施設を絞り込みましょう。
Q. 急に施設が必要になった。すぐ入れる老人ホームはありますか?
A. 特養は待機期間が長いですが、有料老人ホームやサ高住では空き次第すぐに入居できる施設も多くあります。緊急の場合は無料の施設紹介サービスに相談すると、空きのある施設を速やかに案内してもらえます。
まとめ
- 老人ホームの費用は月々5万〜40万円と種類によって大きく異なる
- 年金だけで払えるかは年金額と施設の種類次第。特養なら年金内で賄えるケースが多い
- 低所得世帯には補足給付(食費・居住費の軽減)があり、月の自己負担を大幅に抑えられる
- 費用を安くするには特養への早期申請・高額介護サービス費の活用・入居一時金0円施設の選択が有効
- 施設選びは費用だけでなく介護度・認知症の有無・医療依存度も合わせて判断する
