「ヘルパーさんに庭の草むしりを頼んだら『できません』と断られた」「ペットの世話もダメと言われた」——訪問介護には、介護保険で”できること”と”できないこと”がはっきり決まっています。それを知らないと、頼んでからガッカリしたり、ヘルパーさんとの関係がぎくしゃくしたりしがちです。
結論から言うと、訪問介護(ホームヘルプ)で頼めるのは「本人のための、日常生活に必要な支援」だけ。本人以外の家族のための家事や、日常生活に必須でないことは対象外です。
私は病院MSWとして17年間、退院後のヘルパー利用の相談に数多く関わってきました。この記事では、ヘルパーに頼めること・頼めないこと、そして”できないこと”を解決する方法まで、具体的に解説します。
「母のヘルパーさんに、私(同居の娘)の分の食事も作ってほしいと頼んだら断られました。冷たくないですか?」——50代の娘さんからのご相談。じつはこれ、ヘルパーさんが冷たいのではなくルールで”本人以外のための家事”はできないのです。制度の線引きを説明すると納得され、家族分の家事は別のサービスで補う形にしました。仕組みを知ると、無用なわだかまりが消えます。
訪問介護でヘルパーに頼めること
訪問介護のサービスは大きく「身体介護」と「生活援助」の2つに分かれます。
| 身体介護(体に触れる支援) | 生活援助(家事の支援) |
|---|---|
| 食事の介助 | 掃除(本人が使う部屋) |
| 入浴・清拭・排せつの介助 | 洗濯 |
| 着替え・整容の介助 | 本人の食事の調理 |
| 体位変換・移動の介助 | 本人の分の買い物 |
| 通院の付き添い(一部) | ゴミ出し・薬の受け取り |
ポイントはすべて「利用者本人のため」の支援に限られることです。
ヘルパーに頼めないこと
次のようなことは、介護保険の訪問介護では原則できません。
- 本人以外(家族)のための家事——家族の食事作り・部屋の掃除・洗濯
- 日常生活に必須でない家事——草むしり・庭木の手入れ・大掃除・窓拭き・模様替え
- ペットの世話——散歩・エサやり
- 来客の対応・接待
- 金銭・貴重品の管理、契約ごと
- 医療行為——インスリン注射・床ずれの処置など(これは訪問看護の役割)
「できないこと」はどう解決する?
ヘルパーに頼めないことは、次の方法で補えます。
- 介護保険外サービス——草むしり・大掃除・ペットの世話・通院の付き添い・話し相手など、”できないこと”の多くをカバーできる。保険の枠を気にせず頼めるのが強み
- 自治体の生活支援サービス——地域によってはゴミ出し支援や配食などがある
- シルバー人材センター——庭仕事・草むしりなどを安価に依頼できることも
- 家族・地域の助け合い——できる範囲で分担
特に「通院の付き添い」「留守番中の見守り」「趣味の外出」などは、介護保険ではカバーしきれないことが多く、介護保険外サービスの出番です。ヘルパー(保険)と保険外サービスを組み合わせると、生活の穴がなくなります。
ヘルパーさんに「それはできません」と言われた…その困りごと、解決できます
✅ 草むしり・大掃除・ペットの世話もOK
✅ 通院の付き添い・院内の介助
✅ 話し相手・見守り・趣味の外出
✅ 相談は無料
利用するときの注意点
- ケアプランにない支援は受けられない——追加したいときはケアマネに相談してプランを見直す
- 「ついで」でも頼めない——本人の掃除のついでに家族の部屋も、はできない
- できる・できないは事業所やケアマネに確認——グレーな部分は自治体で解釈が違うこともある
訪問介護とデイサービスの使い分けは訪問介護とデイサービスの違い、医療的ケアが必要な場合は訪問看護もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 同居家族がいると生活援助は受けられませんか?
同居家族がいると、生活援助(掃除・調理など)は原則使えないことがあります。ただし家族が病気・障害・仕事で対応できないなどの事情があれば認められる場合も。ケアマネに事情を伝えて相談してください。
Q. 通院の付き添いは頼めますか?
「通院等乗降介助」として一部対応できますが、院内での待ち時間の付き添いなどは原則対象外です。しっかり付き添ってほしい場合は、介護タクシーや介護保険外サービスの利用が現実的です。
Q. 費用はいくらですか?
介護保険で1〜3割負担です。身体介護のほうが生活援助より単価は高めです。詳しい料金はケアマネや事業所に確認しましょう。
まとめ|この記事のポイント
最後に、この記事のポイントをおさらいします。
- 訪問介護は「身体介護」と「生活援助」。すべて本人のための支援に限る
- 頼めないのは家族の家事・草むしり・ペットの世話・医療行為など
- ヘルパーが断るのは意地悪ではなく制度のルール
- “できないこと”は介護保険外サービス・シルバー人材センターなどで補える
- 追加したい支援はケアマネに相談してケアプランを見直す
訪問介護の「線引き」を知っておくと、ヘルパーさんと良い関係を保ちながら、足りない部分を上手に補えます。制度を味方につけて、無理のない在宅介護を続けていきましょう。
