介護保険負担限度額認定証とは?申請方法・条件・いくら安くなるかを元MSWが徹底解説

「親が特養に入ることになったけど、食費・居住費が高くてびっくりした」「負担限度額認定証という書類を勧められたけど、何のことかわからない」——そんな声をソーシャルワーカーとして何度も聞いてきました。

負担限度額認定証を取得するだけで、施設の食費・居住費が月2〜5万円安くなることがあります。知っているかどうかで年間数十万円の差が出るこの制度を、元医療ソーシャルワーカーがわかりやすく解説します。

目次

負担限度額認定証とは?

介護保険負担限度額認定証(ふたんげんどがくにんていしょう)とは、介護保険施設(特養・老健・ショートステイなど)に入所・利用する際の「食費」と「居住費」を軽減してもらえる制度の認定証です。正式名称は「特定入所者介護サービス費」、略して「補足給付」とも呼ばれます。

介護保険サービスは1〜3割負担ですが、施設の食費・居住費は全額自己負担です。この部分が高額になりやすく、低所得の方の負担を軽減するために設けられた制度です。

負担限度額認定証でいくら安くなる?【段階別一覧】

軽減額は所得・資産に応じて第1〜第4段階に分けられます。段階が低いほど、より大きな軽減が受けられます。

段階対象者食費(1日)居住費・ユニット型個室(1日)月額軽減目安
第1段階生活保護受給者・老齢福祉年金受給者(世帯全員が住民税非課税)300円820円約3〜5万円軽減
第2段階世帯全員が住民税非課税・年金収入等が年80万円以下390円820円約2〜4万円軽減
第3段階①世帯全員が住民税非課税・年金収入等が年80万円超120万円以下650円1,310円約1〜3万円軽減
第3段階②世帯全員が住民税非課税・年金収入等が年120万円超1,360円1,310円約1〜2万円軽減
第4段階住民税課税世帯(対象外)施設の設定額施設の設定額軽減なし

※ 上記は特養のユニット型個室の場合の目安です。施設の種類・部屋タイプによって異なります。

申請できる条件(所得・預貯金の要件)

負担限度額認定証を受けるには、以下のすべての条件を満たす必要があります。

条件① 世帯全員が住民税非課税であること

本人だけでなく、同じ世帯の全員が住民税非課税である必要があります。世帯内に一人でも住民税を課税されている方がいると対象外になります。ただし、「世帯分離」を行うことで条件を満たせるケースがあります(後述)。

条件② 預貯金等が一定額以下であること

2021年8月から預貯金等の資産要件が厳格化されました。段階ごとの上限は以下のとおりです。

段階単身の場合夫婦の場合
第1段階1,000万円以下2,000万円以下
第2段階650万円以下1,650万円以下
第3段階①550万円以下1,550万円以下
第3段階②500万円以下1,500万円以下

預貯金等には、現金・普通預金・定期預金・有価証券(株式・投資信託)・貴金属(時価100万円超)などが含まれます。一方、自宅・生命保険・自動車は含まれません。

申請方法・必要書類・申請時期

申請窓口

お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(市役所・区役所・町村役場)に申請します。施設入所前でも申請できますが、認定されないとサービス利用時に軽減が受けられないため早めの申請が重要です。

必要書類

  • 介護保険負担限度額認定申請書(窓口またはホームページから入手)
  • 介護保険被保険者証
  • 預貯金等の資産がわかるもの(通帳のコピー、証券口座の残高明細など):直近2ヶ月分
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

申請時期と有効期間

認定証の有効期間は毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間です。毎年更新が必要で、更新案内は市区町村から届きますが自動更新ではなく毎年申請が必要です。更新を忘れると軽減が受けられなくなるので注意してください。

申請した月の初日から認定されるため、施設入所が決まった時点ですぐに申請することをおすすめします。

「世帯分離」で対象になるケース

「世帯に住民税を払っている子どもがいるから対象外」という場合でも、親を世帯分離することで要件を満たせるケースがあります。

世帯分離とは、同居していても住民票上の世帯を分けることです。親が子どもと同居していても、世帯分離をすることで親だけの世帯を作り、親の世帯が住民税非課税であれば申請できます。手続きは市区町村の住民窓口でできます(費用はかかりません)。

ただし世帯分離によってデメリット(国民健康保険料の増加等)が生じる場合もあるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してから判断することをおすすめします。

負担限度額認定証と介護保険負担割合証の違い

混同されやすい2つの書類ですが、全く別のものです。

介護保険負担限度額認定証介護保険負担割合証
軽減対象施設の食費・居住費介護サービス費の自己負担割合
負担割合段階に応じた定額負担1割・2割・3割のいずれか
申請自分で申請が必要自動的に送付される(申請不要)
対象者低所得者(住民税非課税等)介護保険被保険者全員

よくある質問

Q. ショートステイでも使えますか?
A. 使えます。特養・老健・介護医療院などの施設入所のほか、ショートステイ(短期入所生活介護・療養介護)でも食費・居住費の軽減が受けられます。

Q. 申請してから認定まで何日かかりますか?
A. 市区町村によって異なりますが、通常2〜4週間程度です。施設入所が決まったらすぐに申請手続きを始めましょう。

Q. 有価証券(株・投資信託)も資産に含まれますか?
A. 含まれます。2021年8月の改正から、預貯金だけでなく有価証券・投資信託・タンス預金なども資産として申告が必要になりました。申告内容に虚偽があった場合は不正受給として返還を求められる場合があります。

Q. 認定証を持って施設に行けばいいですか?
A. 認定証は施設に提示してください。施設側が自己負担額を計算し、軽減後の金額で請求書が発行されます。更新後は新しい認定証をすぐに施設に提出しましょう。

まとめ:申請しないと損!まずケアマネに相談を

負担限度額認定証は、条件を満たしているのに申請していない方が非常に多い制度です。申請しなければ軽減は受けられません。施設入所が決まったら、または検討し始めた段階で、ケアマネジャーや地域包括支援センターに「負担限度額認定証の申請はできますか?」と必ず確認してください。

年間で数十万円の差が出ることもあります。知っているかどうかだけで大きく変わる制度ですので、ぜひ活用してください。

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