ダブルケアとは?介護と育児の同時進行を乗り越える完全ガイド【社会福祉士が解説】

DOUBLE CARE

ダブルケアとは?
介護と育児の同時進行を乗り越える完全ガイド

社会福祉士・公認心理師が20年の現場経験と当事者の視点でわかりやすく解説

「子どもの学校行事に行きたいのに、今日は親の通院日…」「夜中に赤ちゃんが泣いて、昼間は義父の介護。もう限界」——こんな声を抱えているのがダブルケアの当事者です。

ダブルケアとは、育児と介護を同時に担っている状態のこと。晩婚化・晩産化が進む日本では、30代〜40代で子育て真っ只中のときに親の介護も始まるというケースが急増しています。内閣府の調査によると、ダブルケアを行っている人は全国で約29万人(2016年調査、実態はさらに多い可能性あり)。そのうち6割以上が女性です。

この記事では、ダブルケアの実態・原因・心身への影響・使える制度・乗り越えるための具体的な対策まで、元医療ソーシャルワーカーでありダブルケア当事者でもある私(ROSHIKU)が、現場と体験の両方の視点で徹底解説します。

目次

ダブルケアとは何か?定義と実態

ダブルケアは「育児と介護の同時進行」と定義されますが、実際にはもっと広い概念です。子育て中に介護が重なるだけでなく、仕事・家事・自分の体調管理・家計管理まで「ケア」の対象が多重化している状態がダブルケアの本質です。

📌 ダブルケアが起きる「3つの社会的背景」

① 晩婚化・晩産化

30代・40代で第一子を産むケースが増加。親の介護が始まる年齢と子育て期が重なりやすくなった。

② 高齢化の進展

平均寿命の延伸により、親が70〜80代まで生きる時代に。子育て世代と介護世代の親が重なる期間が長くなっている。

③ 核家族化・地方移住

実家と離れて暮らす核家族が増加。近くに頼れる親族がいない「孤立ケア」の状況になりやすい。

ダブルケアの「現実」:当事者が語るリアルな1日

ダブルケアを経験していない人には、その過酷さがなかなか伝わりません。実際にどんな1日を送っているのか、ある40代女性のケースをもとに再現してみます。

🕐 ダブルケア当事者のリアルなタイムライン(平日)

5:30 起床。洗濯・朝食準備。子ども(小3)の給食袋に気づき慌てて洗う
7:00 子どもを起こして朝食。「今日持ち物は?」「宿題は?」
8:00 子どもを見送り。すぐに母(要介護2・同居)の朝食・服薬介助
9:30 デイサービスの送迎が来るまで付き添い。その後、急いで出勤
17:30 退社。学童に子どもを迎えに行き、買い物して帰宅
18:30 夕食準備中にデイサービスから母が帰宅。夕食・服薬・入浴介助
20:30 子どもの宿題確認・風呂・読み聞かせ
22:00 洗い物・明日の準備。ようやく自分の時間…でも疲れて何もできない
夜中 母がトイレに起きてくることも。睡眠不足が続く

このタイムラインを見ると、自分のための時間がほぼゼロであることがわかります。しかもこれは「比較的うまくいっている日」。子どもが熱を出した日、母が体調を崩した日には、さらに過酷な状況になります。

ダブルケアが心と体に与える影響

公認心理師・社会福祉士として数多くのダブルケア当事者と関わってきた私が感じるのは、「限界に気づいたときにはすでに深刻な状態」になっているケースが非常に多いということです。

😓 精神的な影響

  • 慢性的なイライラ・怒りっぽくなる
  • 罪悪感(育児か介護か選ばなければならない場面で)
  • 将来への漠然とした不安・絶望感
  • 抑うつ状態・燃え尽き症候群(バーンアウト)
  • 誰にも相談できない孤立感

🏥 身体的な影響

  • 慢性的な睡眠不足・疲労感
  • 腰痛・肩こり(介護による身体負担)
  • 食事を満足に取れない・体重減少
  • 自分の医療機関への受診が後回しに
  • 免疫低下による感染症リスク上昇

💼 仕事・社会的な影響

  • 突発的な休暇取得でキャリアへの影響
  • 残業・出張ができず評価が下がる
  • 介護離職(特に女性に多い)
  • 友人との交流が激減し孤立
  • 趣味・自己投資の時間が消える

⚠️ 「介護うつ」に気をつけて

厚生労働省の調査では、介護者の約30〜40%が抑うつ状態にあるとされています。育児と介護が重なるダブルケア状態では、このリスクがさらに高まります。「ちょっと疲れてるだけ」と思いながら深刻な状態になる前に、早めに支援を求めることが重要です。

ダブルケアを乗り越えるための「5つの戦略」

ダブルケアに正解はありませんが、少しでも楽になるための考え方と行動があります。私が現場で見てきた「うまく乗り越えている人」に共通する5つの戦略を紹介します。

戦略① 「完璧なケア」を捨てる

ダブルケアで最も消耗するのは、「育児も介護も完璧にしなければ」という思い込みです。食事は市販の惣菜でいい。掃除は週1回でいい。完璧なお母さん・完璧な介護者である必要はありません。

「手を抜くこと=罪悪感」になりがちですが、自分が倒れたら誰が子どもを、誰が親の介護をするのでしょうか。「自分を守ること」は利己的ではなく、ケアの継続のために必要な行為です。公認心理師として断言します。

戦略② 介護保険をフル活用する

介護が必要な家族がいる場合、まず要介護認定を申請することが最優先です。要介護認定を受ければ、公的な介護サービスを利用できます。「まだそこまでじゃない」「申し訳ない」と思って使わないのは非常にもったいないです。

サービス 内容 ダブルケアへの効果
デイサービス日中の通所介護・リハビリ日中に親を預けられ、仕事や子育てに集中できる
ショートステイ数日〜2週間の宿泊介護学校行事・入院・体調不良時に「まとまった休み」を確保
訪問介護(ヘルパー)自宅での身体・生活支援朝夕のヘルパー派遣で出勤前後の介護負担を軽減
訪問看護看護師・リハビリ職の訪問医療的ケア(胃ろう・吸引など)を専門家に任せられる
介護老人福祉施設(特養)長期入所型施設在宅介護の限界時に安心して任せられる選択肢

介護保険サービスを使うには、まず市区町村への要介護認定の申請が必要です。申請窓口は各市区町村の介護保険課または地域包括支援センターです。認定結果が出るまで約1ヶ月かかるため、「そろそろ必要かも」と感じた段階で早めに動くことをおすすめします。

戦略③ 子育て支援制度も組み合わせる

ダブルケアの方は介護側の制度は知っていても、子育て支援制度を使いきれていないことが多いです。育児側でも使える公的サービスをフル活用しましょう。

🍼 ダブルケア世帯が使える子育て支援

  • 延長保育・病児保育:急な残業や親の体調不良時に子どもを預けられる
  • ファミリーサポートセンター:地域の住民が子どもを預かる互助制度(月数百円〜)
  • 学童保育(放課後児童クラブ):小学生が放課後に過ごせる公的施設
  • 子育て短期支援事業(ショートステイ):保護者が入院・疾病時に子どもを施設で預かる
  • ヤングケアラー支援:子どもが親の介護を担っている場合の学校・行政支援
  • 介護休業制度(職場):介護のために年93日まで休業できる法律上の権利

戦略④ 「情報の窓口」を一本化する

ダブルケアで困るのが、育児の相談先(保育所・学校・子育て支援センター)と介護の相談先(地域包括支援センター・ケアマネジャー)が別々で、全体像を把握してくれる人がいないことです。

最近は「ダブルケア相談窓口」を設ける自治体も増えていますが、まだ少数です。現実的な対策としては、ケアマネジャー(介護側)か子育て支援コーディネーター(育児側)のどちらかに「両方の状況」を共有し、全体をコーディネートしてもらうことです。

また、社会福祉士や医療ソーシャルワーカーは、介護・育児・医療・経済的問題を横断的に支援できる専門職です。「何から相談すればいいかわからない」という方は、まず地域包括支援センター(無料・予約不要)に相談するのが最初のステップとしておすすめです。

戦略⑤ SNS・コミュニティで「仲間」を見つける

ダブルケアの辛さの一つは、「同じ状況の人が周りにいない」という孤立感です。友人に相談しても「大変だったね」で終わってしまい、本当の意味での共感が得られないことが多い。

近年はSNS(X・Instagram)でダブルケアを発信する当事者が増え、オンラインでつながれるようになっています。また、NPO法人ダブルケアラボなど、ダブルケア当事者をサポートする団体も存在します。「自分だけじゃない」と感じられるだけで、精神的な負担が大きく軽減されます。

ダブルケアと仕事:介護離職を防ぐために知っておくこと

ダブルケアで最も深刻な問題の一つが介護離職です。総務省の調査では、年間約10万人が介護を理由に仕事を辞めています。一度離職すると、再就職のハードルは高く、老後の年金額にも影響します。できる限り「辞める前に使える制度を使いきる」ことが重要です。

制度名 内容 使えるタイミング
介護休業要介護状態の家族1人につき年93日まで休業可入院・施設探し・在宅介護体制の整備時
介護休暇年5日(対象家族が2人以上は10日)まで1日単位で取得可通院付き添い・突発的な介護対応
介護給付金介護休業中は賃金の67%をハローワークから支給介護休業取得中
所定労働時間の短縮介護のために勤務時間を短縮できる(3年以上)継続的な介護が必要な時期

これらの制度は育児・介護休業法で定められた労働者の権利です。「会社に迷惑をかけたくない」「使いにくい雰囲気がある」と感じる方も多いですが、法的に守られた権利であることを知っておいてください。使用を妨げた場合、会社側に法的責任が生じます。

経済的な不安:ダブルケアにかかるお金の現実

育児費用と介護費用が同時にかかるダブルケアは、家計への打撃も深刻です。特に介護は「いくらかかるか先が読めない」ため、漠然とした不安が大きくなりがちです。まず現実の数字を把握しましょう。

💴 ダブルケア世帯の月次コストの目安

育児費用(未就学児)

3〜5万円/月

保育料・習い事・食費・衣料など

在宅介護費用

5〜15万円/月

自己負担1〜3割+おむつ・医療費など

施設入所の場合

8〜20万円/月

特養〜有料老人ホームで幅あり

※育児+介護で月10〜20万円以上の追加支出が生じる場合も。家計の見直しと公的給付の活用が不可欠。

こうした費用を少しでも軽減するために活用できるのが、相続税対策・生前贈与・生命保険の非課税枠などの資産活用手段です。詳しくは当ブログの相続税の基礎知識任意後見制度の解説記事も参考にしてください。

ヤングケアラーへの影響:子どもが「第2のケアラー」になっていないか

ダブルケアの家庭で見落とされがちなのが、子どもへの影響です。親が介護に追われる中、子どもが知らず知らずのうちに家族のケアを担う「ヤングケアラー」になってしまうケースがあります。

👦 ヤングケアラーのサイン(こんな状態になっていませんか?)

  • 宿題をする時間・友達と遊ぶ時間が取れない
  • 祖父母(要介護)の話し相手・見守りを担っている
  • 「お父さん・お母さんの代わり」として家事をしている
  • 学校を欠席・遅刻することが増えた
  • 将来の夢を語らなくなった、大学進学をあきらめようとしている

子ども家庭ソーシャルワーカーとしての視点から言えば、ヤングケアラーは決して「家族思いの良い子」と美化してはいけません。子どもが本来享受すべき教育・遊び・成長の機会を奪われているのは、社会的な問題です。もし該当する状況があれば、学校の先生・スクールソーシャルワーカー・市区町村のこども家庭センターに相談することをお勧めします。

私自身のダブルケア体験談

最後に、少し私自身の話をさせてください。

私は病院で医療ソーシャルワーカーとして働きながら、2人の子どもをほぼワンオペで育ててきました。実家は北海道で、体調不良の子どもを抱えて「誰に頼ればいいのか」という状況が何度もありました。仕事では毎日誰かの「生きることの不安」に寄り添いながら、家に帰れば自分が当事者として同じ不安を抱えていた。

「専門家なんだから、自分のことは自分で何とかできるはず」——そう思って誰にも頼れないでいた時期が長かったです。でもある日、ベテランの先輩から「人を助けるためにも、自分が助けを求める練習が必要」と言われて、ハッとしました。

「頼ること」は弱さではありません。「助けを求めること」は賢さです。ダブルケアで追い詰められている方に、まず伝えたいのはそのことです。

💬 まとめ:ダブルケアを乗り越えるための3か条

「完璧にやらなくていい」と自分に許可を出す

介護保険・育児支援・労働制度を組み合わせてフル活用する

地域包括支援センター・社会福祉士に「まず相談」してみる

ダブルケアの状況は一人ひとり異なります。「うちのケースはどうすればいい?」という具体的な疑問は、ぜひお問い合わせフォームからお寄せください。社会福祉士・公認心理師として、できる限りお答えします。

ダブルケアの「相談先」完全マップ

「どこに相談すればいいのかわからない」——これがダブルケアの最初の壁です。介護と育児で担当窓口が分かれているため、「たらい回し」になってしまうことも少なくありません。以下に主な相談先をまとめました。

相談窓口 主な対応内容 費用
地域包括支援センター介護・高齢者全般・ダブルケア相談の入口として最適無料
こども家庭センター(市区町村)育児・子育て支援・ヤングケアラー相談無料
介護保険課(市区町村)要介護認定の申請・介護保険制度の案内無料
ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)介護サービスの計画立案・調整(担当制)無料(保険で賄われる)
社会福祉協議会生活困窮・家計支援・ボランティア紹介無料
医療ソーシャルワーカー(病院MSW)入退院に伴う介護・生活・経済的問題の相談無料
NPO法人・ダブルケア支援団体当事者同士のつながり・情報交換・ピアサポート無料〜少額

「どこから始めればいいかわからない」という方には、地域包括支援センター(全国約5,400カ所設置)を最初の窓口にすることを強くお勧めします。介護側・育児側を問わず、生活全体の悩みを受け止めてくれる専門家がいます。

ダブルケアを「一人で抱え込まない」ための考え方

ダブルケアを経験している方の多くに共通するのが、「自分がやらなければ誰もやらない」「誰かに迷惑をかけたくない」という考え方です。これは責任感の強さの表れでもありますが、同時に自分を追い詰める罠にもなります。

❌ こう考えていませんか?

  • 「もっと頑張らなければいけない」
  • 「他の人も同じ状況でやっているはず」
  • 「施設に入れるのは親を捨てること」
  • 「子どもに寂しい思いをさせている」
  • 「誰かに頼るのは恥ずかしい」

✅ こう考えてみてください

  • 「できることとできないことがある」
  • 「全員が同じ状況に耐えられるわけではない」
  • 「施設は『安心して暮らせる場所』を与えること」
  • 「笑顔の親がいれば子どもは安心する」
  • 「助けを求めることが次の支援者を育てる」

公認心理師として繰り返しお伝えしたいのは、「罪悪感はあなたが悪いから生まれるのではなく、誠実であるから生まれる」ということです。罪悪感を感じているということは、それだけ家族のことを大切に思っている証拠です。ただ、その感情が自分を傷つける道具にならないように、上手に手放すことが大切です。

ダブルケアに関するよくある質問(Q&A)

Q. 親が介護認定を受けていません。まず何をすればいいですか?
A. まず市区町村の介護保険課または地域包括支援センターに連絡し、要介護認定の申請をしましょう。申請は本人だけでなく家族も代理申請できます。認定結果が出るまで約1ヶ月かかるため、「もしかして必要かも」と感じたら早めに動くことをお勧めします。認定を受けておくと、いざというときにサービスをすぐ利用できます。
Q. 仕事を辞めるべきか迷っています
A. 介護・育児を理由に仕事を辞めることは、長期的には家計・老後・精神的健康に悪影響を与えることが多いです。まず介護休業制度・介護休暇・時短勤務などを活用し、使える外部サービスをすべて検討してから判断しましょう。それでも本当に継続不可能であれば、期限を決めた「一時的な休職・離職」という選択肢もあります。
Q. 夫(パートナー)が介護に協力してくれません
A. 「介護は嫁の仕事」という意識が残る家庭では、負担の偏りが起きやすいです。パートナーへの伝え方として有効なのは、「現在の負担を時間と費用に数値化して見せる」こと。「週○時間・月○万円分の介護をしている」と示すと、問題が可視化されやすくなります。また、夫婦間の問題として抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに「家族全体で話し合いたい」と相談することも有効です。
Q. 経済的に余裕がなく介護サービスが使えません
A. 介護保険サービスの自己負担が困難な場合、負担軽減制度(社会福祉法人による利用者負担軽減・高額介護サービス費の払い戻し・生活保護の介護扶助)が活用できる可能性があります。また、社会福祉協議会では生活費の貸付制度(生活福祉資金)も提供しています。「お金がないからサービスを諦める」前に、まず窓口に相談することが大切です。

ダブルケアをしながら「自分らしく生きる」ために

ダブルケアの渦中にいると、「自分」という存在が消えていく感覚を覚えることがあります。誰かのためにだけ生きている状態が続くと、やがて「何のために生きているんだろう」という虚無感に陥ることも。

でも、あなたには「ケアラー」以外の顔があります。仕事人・趣味人・友人・恋人・学習者——そうした「ケアラー以外の自分」を少しでも残しておくことが、長期的なダブルケアの継続には欠かせません。

💜 「自分時間」を守るための小さな習慣

  • 1日10分だけ「自分のためだけの時間」を死守する(読書・音楽・散歩など)
  • 月1回、自分の健康診断・医療受診を最優先スケジュールに入れる
  • 「ありがとう」と言われたことを記録する日記をつける(自己肯定感の維持)
  • ショートステイを使って年2〜3回は「介護ゼロの日」を作る
  • SNSで「ダブルケア」仲間と繋がり、愚痴を言える場所を持つ

あなたがケアをしている親御さんも、あなたが自分らしく笑顔でいてくれることを本当は望んでいるはずです。「自分を大切にすること」は、最終的には周りの人を大切にすることにつながります。

まとめ:ダブルケアは「社会で支える」課題

ダブルケアは個人や家族だけで解決できる問題ではありません。晩婚化・高齢化・核家族化という社会構造の変化が生み出した、社会全体で取り組むべき課題です。

一人ひとりができることとして、まず「制度を知り、使う」ことが重要です。介護保険・育児支援・労働制度は、困ったときのために社会が用意した「公的なサポート」です。使うことに遠慮は不要です。

📋 今日からできる「ダブルケア脱出」アクションリスト

  • □ 地域包括支援センターの連絡先を調べる(まずここに電話)
  • □ 介護が必要な家族がいれば要介護認定を申請する
  • □ 職場の就業規則で「介護休業・介護休暇」を確認する
  • □ 子育て支援(延長保育・ファミサポ)を市区町村で確認する
  • □ SNSで「#ダブルケア」「#介護と育児」で仲間を探す
  • □ 今週、10分だけ「自分のためだけの時間」を作る

このブログでは、ダブルケアをはじめ介護・老後・相続・子育ての情報を、現場経験20年の社会福祉士・公認心理師の視点で発信しています。「読んでよかった、少し楽になった」と感じていただけたら嬉しいです。

具体的なお悩みはお問い合わせフォームからいつでも受け付けています。一人で抱え込まず、まず誰かに話してみてください。それが変化の第一歩です。

ダブルケアと「家族信託」:財産管理をスムーズにする方法

ダブルケア状態で親の認知症が進行すると、次に直面するのが親の財産管理の問題です。認知症が進むと銀行口座が凍結され、介護費用の支払いや施設入居の手続きに支障が生じます。この問題を事前に解決する手段として、家族信託が近年注目されています。

🏦 家族信託でダブルケアが楽になるポイント

  • 親が元気なうちに子どもに財産管理を任せる契約ができる(認知症後も継続)
  • 介護施設の費用・医療費を子どもの判断でスムーズに支払える
  • 不動産の売却・賃貸も受託者(子ども)が対応できる
  • 成年後見制度より柔軟で、家族の意向を反映しやすい
  • 信託口座を使えば、財産の混同・横領リスクを防止できる

家族信託は認知症になるに手続きが必要です。「そのうち」と思っていると手遅れになるケースが多いため、ダブルケア開始と同時に専門家(司法書士・行政書士・弁護士)への相談をお勧めします。詳細は家族信託の解説記事をご覧ください。

ダブルケアと「遠距離介護」:離れて暮らす親を支援するコツ

私自身、北海道の実家から離れて東京で暮らしながら子育てをしてきたため、遠距離介護の不安は人一倍わかります。同居・近居が難しい場合の遠距離介護の対処法をまとめました。

📱 ICT・テクノロジーの活用

  • スマホビデオ通話で定期的に顔を見る(週1回でも大きな効果)
  • 見守りカメラ・センサーで生活リズムを遠隔確認
  • GPS付き端末で外出時の居場所把握
  • 服薬管理アプリ・自動服薬管理機の導入

🤝 地域のネットワークを作る

  • 地元のケアマネジャーに「親戚の代わり」として情報共有してもらう
  • 近所の方・民生委員に見守りをお願いする
  • かかりつけ医と直接連絡できる関係を作る
  • 緊急時の連絡先リストを現地と遠方で共有

✈️ 帰省を「戦略的」に使う

  • 帰省のタイミングでケアマネジャーとの面談を入れる
  • ショートステイを活用して帰省中に施設・病院の下見をする
  • 要介護認定の更新・区分変更の申請を帰省に合わせる
  • 実家の掃除・整理・危険箇所の確認(転倒防止)

遠距離介護でよく起きる「急に帰省しなければならない」という緊急事態に備えて、会社への事前申告・フレックスや有給の確保・新幹線・飛行機の格安予約の習慣化をしておくことで、精神的な余裕が生まれます。

ダブルケアの「出口」を考える:介護の終わりとその後

ダブルケアをしている方にはなかなか言いにくいことですが、介護には必ず「終わり」があります。施設入所・病状安定・そして看取り。介護の終わりを迎えたとき、初めて「ダブルケアのトンネル」を抜けます。

現場で多くの看取りに関わってきた経験から言えることは、「終わり方を考えておくこと」が残された家族の心を守るということです。終末期の意思表示(延命治療をどうするか・どこで最期を迎えたいか)を、本人が元気なうちに家族で話し合っておくことは、決して不吉なことではありません。

💬 「人生会議(ACP)」を家族でしておこう

人生会議(Advance Care Planning / ACP)とは、もしものときのために、自分が望む医療・ケアについて、家族や医療者と繰り返し話し合うプロセスです。「胃ろうは希望しない」「自宅で最期を迎えたい」など、本人の意思を事前に確認しておくことで、介護者が「これでよかったのか」という後悔を持ちにくくなります。

介護が終わったとき、多くのケアラーは「解放感」と同時に「虚無感・罪悪感」を感じます。長年のケアがアイデンティティになっていたため、それが終わることで心のよりどころを失ってしまうのです。これは「グリーフ(悲嘆)」の一種であり、専門的なサポートが必要な場合もあります。介護が終わった後も、必要であれば心理士・カウンセラーに相談してください。

ダブルケアの統計データと社会的認知の現状

ダブルケアはまだ社会的な認知度が低く、「自分だけが苦しんでいる」と感じてしまいがちです。しかし実際には、日本全体でこれだけ多くの人が同じ状況にいます。

データ項目 数値・内容 出典
ダブルケア人口(推計)約29万人内閣府(2016年調査)
女性の割合約61%内閣府(同)
主な年齢層30代後半〜40代が中心内閣府(同)
介護離職者数(年間)約10万人総務省就業構造基本調査
介護者の抑うつ推定率約30〜40%厚生労働省研究班

2016年の内閣府調査以降、晩婚化・晩産化はさらに進んでいるため、現在のダブルケア人口は29万人を大きく超えている可能性があります。政府も「ダブルケア支援」を施策の柱の一つに位置づけ始めており、今後は専門窓口の設置・支援制度の充実が期待されています。

しかし制度が追いつくまでの間も、当事者の苦しさは続きます。今この瞬間もどこかで「ひとりで頑張りすぎている」ケアラーの方に届くように、私はこのブログを書き続けます。一人でも多くの方に「知っていてよかった」と感じてもらえる情報をお届けすることが、20年のソーシャルワーク経験を持つ私にできることだと信じています。

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