「在宅介護を続けたいけど、毎月いくらかかるのか見当もつかない」「施設に入れた方が安いのか、自宅の方が安いのか…」——そんな不安を抱えている方に向けて、在宅介護にかかる費用の平均相場と、使える公的サービスの全てをお伝えします。
元医療ソーシャルワーカー(MSW)として多くのご家族の相談に乗ってきた経験から、在宅介護の費用は工夫次第で大幅に抑えられます。正しい知識を持つことが節約への第一歩です。
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在宅介護の費用:月平均の相場
在宅介護の費用は、要介護度と使うサービスによって大きく異なります。まず「月にどのくらいかかるのか」の全体像を把握しましょう。
| 要介護度 | 介護保険サービス費(自己負担) | その他の費用 | 月合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 要支援1〜2 | 5,000〜10,000円 | 10,000〜20,000円 | 約1.5〜3万円 |
| 要介護1〜2 | 10,000〜25,000円 | 15,000〜30,000円 | 約2.5〜5.5万円 |
| 要介護3〜4 | 25,000〜40,000円 | 20,000〜40,000円 | 約4.5〜8万円 |
| 要介護5 | 35,000〜55,000円 | 30,000〜60,000円 | 約6.5〜11.5万円 |
生命保険文化センターの調査によると、在宅介護の月平均費用は約4.8万円(介護保険外の費用を含む)とされています。ただし「在宅か施設か」の比較では、在宅介護の方が総じてコストは低い傾向があります。
在宅介護費用の内訳:何にお金がかかる?
在宅介護の費用は大きく「①介護保険で賄えるもの」と「②自費で払うもの」に分かれます。
①介護保険サービス(1〜3割自己負担)
| サービス | 内容 | 月額自己負担目安(1割) |
|---|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプ) | 食事・入浴・排泄介助、買い物代行 | 5,000〜20,000円 |
| 訪問看護 | 医療処置、健康管理 | 5,000〜15,000円 |
| デイサービス(通所介護) | 日中の介護・機能訓練・入浴 | 10,000〜25,000円 |
| デイケア(通所リハ) | リハビリ中心のデイサービス | 10,000〜30,000円 |
| ショートステイ(短期入所) | 施設への一時宿泊(介護者の休息に) | 1泊あたり1,000〜2,000円 |
| 福祉用具レンタル | 車いす・介護ベッド・歩行器など | 月500〜5,000円 |
| 住宅改修 | 手すり設置・段差解消(上限20万円) | 工事費の1〜3割 |
②介護保険外の費用(全額自費)
| 費用の種類 | 月額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 食費(宅配弁当含む) | 20,000〜40,000円 | 宅配弁当は1食500〜800円 |
| おむつ・衛生用品 | 5,000〜15,000円 | 要介護3以上はおむつ代助成あり(市区町村による) |
| 医療費 | 5,000〜30,000円 | 高額療養費制度で上限あり |
| 通院交通費 | 3,000〜10,000円 | 介護タクシー利用の場合は高め |
| 家族の仕事での損失 | 個人差大 | 介護離職すると年収ゼロに |
介護保険サービスの上限額:区分支給限度基準額
介護保険サービスには「区分支給限度基準額」という月ごとの上限があります。この上限内なら1〜3割の自己負担でサービスを利用できますが、超えた分は全額自費になります。
| 要介護度 | 区分支給限度基準額(月) | 自己負担上限(1割) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 約10,531円 |
| 要介護1 | 167,650円 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 約36,217円 |
限度額まで使い切っていない方も多いです。ケアマネジャーに「もっとサービスを使えますか?」と確認することを強くおすすめします。
費用を抑える!使える公的制度5つ
在宅介護の費用は、公的制度を活用することで大幅に節約できます。知らないだけで損している制度がたくさんあります。
①高額介護サービス費
1ヶ月の介護保険サービスの自己負担が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻しされる制度です。
| 所得区分 | 月の上限額 |
|---|---|
| 年収約383万円以上 | 44,400円 |
| 一般(住民税課税) | 44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 所得が特に低い方 | 15,000円 |
②高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費と介護費の両方を合わせた自己負担額に上限を設ける制度。1年間の合算額が限度額を超えると払い戻しがあります。介護と医療の両方がかかる家庭には特に有効です。
③おむつ代助成
多くの市区町村で要介護3〜5の方を対象に、月3,000〜6,000円相当のおむつを無償支給または購入費を補助する制度があります。市区町村によって条件が異なるので、役所の介護保険窓口に確認を。
④介護用品貸与の活用
介護ベッド・車いす・歩行器などは購入ではなくレンタルが原則。月500〜5,000円程度の自己負担で利用でき、不要になったら返却できます。購入より断然お得です。
⑤障害者控除・医療費控除(確定申告)
要介護2以上の方は市区町村から「障害者控除対象者認定書」を発行してもらい、確定申告で障害者控除(27〜75万円)を受けられます。また、介護サービス費や医療費は医療費控除の対象です。毎年確定申告で取り戻しましょう。
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在宅介護 vs 施設介護:費用はどちらが安い?
| 比較項目 | 在宅介護 | 特別養護老人ホーム | 有料老人ホーム |
|---|---|---|---|
| 月の費用目安 | 3〜10万円 | 5〜15万円 | 15〜35万円以上 |
| 入居一時金 | なし | なし | 0〜数千万円 |
| 家族の介護負担 | 大きい | ほぼなし | ほぼなし |
| 住み慣れた環境 | ◎ | △ | △ |
| 24時間の専門ケア | △(夜間は家族) | ◎ | ◎ |
純粋な費用では在宅介護の方が安いことが多いですが、家族の介護負担が大きくなる点は見落とせません。「介護疲れによる介護離職」が起きると、家族の収入減少という大きな経済的損失が生じます。
ケース別:実際の在宅介護費用シミュレーション
ケース①:要介護2・一人暮らしの親(70代)
| 訪問介護(週4回) | 12,000円 |
| デイサービス(週2回) | 10,000円 |
| 福祉用具レンタル(歩行器) | 800円 |
| 宅配弁当(夕食のみ・月20回) | 16,000円 |
| 医療費(定期通院) | 5,000円 |
| 合計 | 43,800円/月 |
ケース②:要介護4・同居する親(80代)
| 訪問介護(週5回・身体介護含む) | 25,000円 |
| 訪問看護(週1回) | 8,000円 |
| デイサービス(週3回) | 18,000円 |
| ショートステイ(月3泊) | 6,000円 |
| 介護ベッドレンタル | 2,500円 |
| おむつ代 | 8,000円 |
| 医療費 | 10,000円 |
| 合計 | 77,500円/月 |
ケース②では高額介護サービス費の申請で上限を超えた分が戻ってくるケースがあります。必ず申請を忘れずに。
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よくある質問
Q. 在宅介護の費用に上限はありますか?
A. 介護保険サービスには月ごとの「区分支給限度基準額」があり、その範囲内なら1〜3割負担です。また「高額介護サービス費」で自己負担に月の上限が設けられています。医療費と合算した上限制度もあります。
Q. お金がなくても在宅介護はできますか?
A. 住民税非課税世帯など低所得の方には自己負担の軽減制度があります。また、要支援1〜2なら月の自己負担が1万円未満に収まることも多く、公的サービスを上手に使えば費用を大幅に抑えられます。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してください。
Q. 在宅介護の費用は確定申告で控除できますか?
A. はい。訪問介護・訪問看護・デイサービスなどの介護保険サービス費の自己負担分は医療費控除の対象です。また、要介護認定を受けていれば障害者控除も申請できる場合があります。毎年確定申告で取り戻しましょう。
Q. 施設に入れた方がトータルで安くなりますか?
A. 特別養護老人ホーム(特養)は月5〜15万円で24時間ケアが受けられるためコスパが高いですが、要介護3以上の方が対象で、待機期間が数年かかることもあります。在宅介護との費用差は要介護度や家族の状況によって異なるため、専門家への無料相談がおすすめです。
まとめ
- 在宅介護の月費用は要介護度によって1.5〜11.5万円が目安
- 介護保険サービスは1〜3割負担で使える(区分支給限度額内)
- 高額介護サービス費・おむつ助成・医療費控除など公的制度を活用すれば節約できる
- 費用が心配ならケアマネジャーや専門相談窓口に無料相談を
- 在宅か施設かは費用だけでなく家族の介護負担も含めて判断すること
「介護のお金のことは複雑でよくわからない」という方こそ、プロに相談することをためらわないでください。相談は無料ですし、知っているだけで毎月数万円変わることもあります。
