「最近、親の物忘れが気になる…」「同じことを何度も聞いてくる」「これは認知症?それとも普通の老化?」
家族が最初に直面する疑問がこれです。認知症は早期発見・早期対応が本人と家族の生活の質を大きく左右します。でも、何をすればいいか分からないまま時間が過ぎてしまう家族がたくさんいます。
医療ソーシャルワーカーとして20年間、認知症の方とご家族に関わってきた経験をもとに、「気になり始めたらすぐ使える初期症状チェックリスト」と「最初にすべき5つのステップ」をお伝えします。
認知症 初期症状チェックリスト【家族用】
以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、専門医への相談を検討してください。
- ☐ 同じことを同じ日に何度も話す・聞く
- ☐ 夕食を食べたこと自体を忘れる(メニューを忘れるのではなく)
- ☐ 以前できていた料理・家事・金銭管理ができなくなった
- ☐ 財布・通帳などをしまった場所が分からなくなり、「盗まれた」と言う
- ☐ 日付・曜日・季節の感覚が薄れてきた
- ☐ ガス・電気の消し忘れが増えた
- ☐ 怒りっぽくなった、または急に無気力になった
- ☐ 今まで好きだったこと(趣味・外出)に興味を示さなくなった
- ☐ 近所や家の中で道に迷うことがある
- ☐ 物忘れを自分では「大丈夫」と思っている(自覚がない)
「物忘れを自覚していない」のが認知症の初期症状の特徴です。「最近忘れっぽくて困る」と言っている場合は、まだ正常な老化の範囲内のことが多いです。
「普通の物忘れ」と「認知症の初期症状」の違い
| 普通の老化による物忘れ | 認知症の初期症状 | |
|---|---|---|
| 忘れ方 | 夕食のメニューを忘れる | 夕食を食べたこと自体を忘れる |
| ヒントがあれば | 思い出せる | ヒントがあっても思い出せない |
| 日常生活 | 問題なく送れる | 料理・金銭管理・服薬に支障が出る |
| 自覚 | 「最近物忘れが多い」と気にしている | 物忘れをほとんど自覚していない |
| 性格の変化 | ほぼない | 怒りっぽくなる・無気力になるなどの変化がある |
認知症を疑ったら最初にすること5ステップ
STEP 1:症状を記録する(焦らない)
いきなり「病院に行こう」と言っても親が拒否することがよくあります。まずは症状をメモアプリで記録しましょう。「いつ・どんな状況で・どんな言動があったか」を具体的に記録しておくと、後で医師に説明するときに非常に役立ちます。
STEP 2:かかりつけ医に家族だけで先に相談する
本人を連れて行く前に、家族だけでかかりつけ医に「最近こういう様子で心配している」と相談するのが最もスムーズです。「次の定期受診のときに認知機能のチェックをしてほしい」と伝えておくだけで、本人が気づかない形で検査が受けられます。
STEP 3:物忘れ外来・認知症疾患医療センターを受診する
かかりつけ医から紹介状が出たら、専門の「物忘れ外来」を受診します。主な検査は①認知機能検査(MMSE・HDS-R)②脳MRI・CT③血液検査(甲状腺疾患などの除外)です。結果によってアルツハイマー型・レビー小体型・脳血管性などの種類が診断されます。
STEP 4:介護保険の要介護認定を申請する
認知症と診断されたら(診断前でも生活に支障が出ていれば)、市区町村の窓口で介護保険の要介護認定を申請しましょう。デイサービス・ホームヘルパー・福祉用具レンタルなどが使えるようになります。介護保険は申請した日から利用できるため、早めの申請が重要です。
STEP 5:地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターは介護・認知症のあらゆる相談を無料で受けてくれる公的機関です。要介護認定のサポート・ケアマネジャーの紹介・施設の提案まで、「何をすればいいか分からない」段階で相談するのに最適な場所です。
認知症の初期症状が出たとき、家族がやってはいけないこと
- 「さっき言ったでしょ!」と叱る→ 本人はわからないのに怒られることで不安・混乱が増す
- 「どうせ認知症」と決めつけて放置する→ 甲状腺疾患・うつ病など治療で改善できる病気が認知症に似ることがある
- 一人で全部抱え込む→ 家族介護者の燃え尽きが最大のリスク。早めに専門家に相談する
まとめ
認知症は早期発見・早期対応が何より大切です。「おかしいな」と思ったらチェックリストで確認し、迷わずかかりつけ医や地域包括支援センターに相談してください。一人で抱え込まず、プロのサポートを借りることが本人と家族を長く守ることにつながります。