「仕事を続けながら親の介護をするなんて、無理なんじゃないか…」
そう感じて、追い詰められているあなたに読んでほしい記事です。医療ソーシャルワーカーとして17年間、退院後に「仕事か介護か」の選択を迫られた方たちを何十人と見てきました。そして多くの場合、離職は防げたと感じています。
知識があれば、使える制度がある。それを知らないまま辞めてしまうのは、あまりにももったいないことです。
介護離職の現状:年間10万人以上が仕事を辞めている
| 項目 | データ |
|---|---|
| 年間介護離職者数 | 約10万人以上 |
| 女性の割合 | 約7〜8割 |
| 離職者の年齢層 | 50〜60代が最多 |
| 介護離職の経済損失(国全体) | 約6.5兆円/年 |
| 離職後の再就職率 | 約6割(正規は約3割) |
| 介護をしながら働いている人 | 約364万人(2022年) |
【重要】介護離職が「経済的に危険」な理由
50〜60代での離職は、退職金・年金・老後の蓄えに直接影響します。介護期間は平均4〜5年と言われており、その間の生活費+介護費用の両方が自己負担になります。「一時的に辞めてまた働けばいい」は、実際には難しいケースがほとんどです。
仕事と介護の両立ができている人とできていない人の違い
| 項目 | 両立できている人 | 追い詰められてしまう人 |
|---|---|---|
| 職場への相談 | 早い段階で上司に報告 | 「迷惑をかけたくない」と限界まで黙っている |
| 介護サービスの利用 | ケアマネを中心に積極的に外部サービスを活用 | 「自分でやらなければ」と家族が全部抱える |
| 制度の知識 | 介護休業・高額介護費など制度を把握している | 制度を知らず、使えるはずの支援を見逃す |
| 完璧主義 | 「70点の介護でいい」と割り切れる | 「もっとうまくできれば」と自分を責める |
| 相談相手 | ケアマネ・地域包括・職場の上司など複数いる | 一人で悩んで孤立する |
介護離職を防ぐ5つの方法
STEP1:早めに職場へ相談する
「介護が始まった」と感じた時点で、上司や人事担当者に早めに相談してください。職場に伝えておくことで、急な休暇取得・時短勤務・テレワークなどの配慮を受けやすくなります。
| 相談のタイミング | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 早期(介護開始直後) | 「介護が必要な状況になりました。制度を活用しながら続けたいと思っています」 |
| 中期(状態が変化したとき) | 「状況が変わってきました。勤務時間の相談をさせてください」 |
| 緊急時(突発的な問題が起きたとき) | 「緊急で対応が必要です。今日だけ早退させてください」 |
STEP2:介護休業・介護休暇制度を徹底活用する
| 制度名 | 取得できる日数・回数 | 給付金 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可 | 休業前賃金の67%(介護休業給付金) |
| 介護休暇 | 年間5日(対象家族が2人以上なら10日) | 給付金なし(無給の場合が多い) |
| 所定労働時間の短縮措置 | 介護が終わるまでの期間、時短・フレックス・テレワーク等を選択可 | 給付金なし |
【重要】介護休業の93日は「ずっと休む」ための制度ではありません
介護の体制(サービス・施設・家族の役割分担)を整えるための期間として活用するのがポイントです。ケアマネを探し、サービスを整え、職場復帰できる体制を作ることが本来の目的です。
STEP3:ケアマネジャーを最大限に活用する
介護に関する困り事は、まずケアマネに相談するという習慣をつくることが、仕事との両立の第一歩です。ケアマネへの相談費用は介護保険内でカバーされ、自己負担はありません。
STEP4:介護サービスをフル活用する
| サービス名 | 活用シーン | 費用目安 |
|---|---|---|
| 訪問介護(朝・夕) | 仕事前後の朝夕の介護をヘルパーに任せる | 1回400〜800円(1割負担) |
| 通所介護(デイサービス) | 仕事中の日中の見守り・介護を外注する | 1日650〜1,200円(1割負担) |
| 短期入所(ショートステイ) | 出張・繁忙期・自分が体調不良のときに活用 | 1日1,200〜2,000円+食費(1割負担) |
| 見守りサービス | 日中の「今どうしているか」を仕事中に確認 | 月2,000〜5,000円(実費) |
STEP5:テレワーク・時短勤務を積極的に申請する
- ☑ テレワーク(在宅勤務):通勤時間がなくなり、急なケアにも対応しやすくなる
- ☑ 時短勤務:1日6時間勤務など、介護に充てる時間を確保
- ☑ フレックスタイム制:朝早めに出勤して早めに退社など、柔軟な時間管理が可能
公的支援制度一覧表
| 制度名 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 介護休業給付金 | 介護休業中に休業前賃金の67%を支給 | ハローワーク(会社経由) |
| 高額介護サービス費 | 月の介護費用が上限額を超えたら差額を払い戻し | 市区町村 |
| 補足給付 | 施設での食費・居住費を所得に応じて軽減 | 市区町村 |
| 地域包括支援センター | 介護の総合相談・制度案内・ケアマネ紹介 | 各市区町村に設置(無料) |
| 医療費控除 | 年間の医療費・介護費の一定額が所得控除の対象 | 確定申告(税務署) |
離職しなかった人の体験談
ケース1:50代・会社員・父の認知症介護
「最初は一人で全部やろうとして、限界になってから上司に相談しました。もっと早く言えばよかった。テレワークにしてもらい、デイサービスと夜間見守りサービスを組み合わせたら、思ったよりずっと楽になりました。」
ケース2:40代・看護師・母の脳梗塞後遺症介護
「医療職だから自分でできると思い込んでいましたが、それが逆に追い詰める原因でした。介護休業を3週間取って体制を整え、デイサービス週4日・訪問介護週3日の組み合わせにしたら、夜にちゃんと眠れるようになりました。」
ケース3:50代・男性・義母の介護
「男性で義母の介護というのは周りに言いにくくて。でも職場で話したら意外と理解してもらえて、フレックスにしてもらいました。ショートステイを月5日使って出張にも対応できています。」
Q&A:仕事と介護の両立についてよくある疑問
Q1. 介護休業はいつでも取れますか?会社が拒否することはありますか?
A. 法律上、会社は介護休業の取得を拒否できません(育児・介護休業法)。会社が拒否する場合は、都道府県労働局に相談できます。
Q2. 介護休業給付金はいくらもらえますか?
A. 休業前賃金の67%が支給されます。上限は2024年時点で月額約31万円程度です。詳細はハローワークに確認してください。
Q3. 職場に介護のことを話したら不利に扱われませんか?
A. 育児・介護休業法では、介護休業の申請・取得を理由とした不利益取扱いは禁止されています。不当な扱いを受けた場合は、都道府県労働局に相談できます。
Q4. 親が「家族に頼めば大丈夫」と言って外部サービスを拒否します
A. 「あなたのためではなく、私が仕事を続けるために必要なんです」と正直に伝えることが有効な場合があります。最初は無料体験・お試し利用で「試してみるだけ」という形で始めると拒否感が薄れることもあります。
Q5. 自分が限界に達している気がします。誰に相談すればいいですか?
A. まず地域包括支援センターに連絡してください。電話一本で相談できます。「介護うつ」は珍しくなく、介護者自身のケアがとても重要です。
まとめ:辞める前に「使える制度」を確認してほしい
介護離職は、一度してしまうと元に戻るのがとても難しいです。「もうこれ以上無理」と感じたとき、すぐに辞めるのではなく、まず次の3つを試してみてください。
- ☑ 職場の上司・人事に介護の状況を打ち明ける(早めであるほどよい)
- ☑ ケアマネジャーに現状を相談し、サービスの見直しをお願いする
- ☑ 介護休業制度を使って、一度立て直す時間をつくる
介護は長期戦です。あなた自身の生活・仕事・健康を守ることが、結果として介護される方を守ることにつながります。「どこに相談すればいいかわからない」というときは、お住まいの地域の地域包括支援センターに電話してください。
「私が17年間で学んだことは、『介護は一人でするものではない』ということです。制度を使い、専門家に頼り、家族で分担する。それができた人が、仕事も介護も、長く続けられています。」
— 元医療ソーシャルワーカー(17年の経験より)
👇 介護に関する悩みは、専門家に無料で相談できます。