介護が始まると、毎月の費用が家計を圧迫することは珍しくありません。しかし、制度を正しく理解して使いこなすことで、費用をぐっと抑えることができます。この記事では、元・医療ソーシャルワーカーの視点から、介護費用を減らすための5つの具体的な方法をご紹介します。
介護費用の現状
厚生労働省の調査によると、要介護者を自宅で介護する場合の月々の費用は平均4〜8万円、施設入所の場合は月10〜30万円を超えることもあります。しかし、多くの方が「使えるはずの制度を知らずに損している」のが現実です。
方法① 高額介護サービス費制度を必ず申請する
最も効果が大きく、かつ知らずにいる方が多いのが高額介護サービス費です。
介護保険サービスを利用した際の自己負担額(1割〜3割)が一定の上限を超えると、超えた分が払い戻される制度です。
負担上限額(月額)の目安:
- 生活保護受給者・低所得者:15,000円
- 住民税非課税(年金収入80万円以下等):15,000円
- 住民税非課税(その他):24,600円
- 現役並み所得以外の一般所得:44,400円
- 現役並み所得(年収約383万円以上):44,400〜140,100円
申請方法: 市区町村の介護保険担当窓口へ申請書を提出します。一度申請すれば、以降は自動的に払い戻されます。申請を忘れると過去2年分まで遡って請求できます。
方法② 高額医療・高額介護合算療養費制度を活用する
医療費と介護費を合算して計算できる制度です。
医療費(健康保険)と介護費(介護保険)を1年間で合算し、一定の上限を超えた分が払い戻されます。特に、医療と介護の両方を多く利用している方には大きなメリットがあります。
毎年8月〜翌7月の1年間分を、8月以降に申請します。加入している健康保険の窓口に確認してみましょう。
方法③ 特定入所者介護サービス費(補足給付)を申請する
施設に入所している方(特養・老健・療養型等)で、低所得の方に対して、食費・居住費の負担を軽減してくれる制度です。
対象となる目安:
- 世帯全員が住民税非課税
- 預貯金が単身で1,000万円以下(夫婦で2,000万円以下)
施設の窓口または市区町村の介護保険担当課に申請します。月数万円の負担軽減になるケースも多く、見逃せない制度です。
方法④ 介護保険の区分変更申請を適切に行う
要介護認定の「区分」によって、利用できるサービスの上限(支給限度額)が決まります。
現状より介護の必要度が高くなっているにもかかわらず、以前の認定のままになっている場合、十分なサービスが使えない上に、実は自己負担が増えていることもあります。
状態が変わったと感じたら、ケアマネージャーに相談して区分変更申請を検討しましょう。適切な区分に変わることで、必要なサービスを上限内で受けられるようになります。
方法⑤ 福祉用具貸与・住宅改修費の助成を最大限活用する
介護保険では、福祉用具(車椅子・歩行器・ベッド等)のレンタル費用の9割が保険でカバーされます(所得によっては7〜8割)。
また、住宅改修費として手すりの設置・段差解消・引き戸への交換などに最大20万円までの給付(1割〜3割の自己負担で利用可)があります。
購入してしまうと自費になることも多いため、まずはケアマネージャーに「レンタルで使えるものはないか」と確認することが大切です。
まとめ:制度を使いこなすのが介護費用節約の近道
| 制度名 | 効果 | 申請先 |
|---|---|---|
| 高額介護サービス費 | 月の自己負担に上限 | 市区町村 |
| 高額医療・介護合算 | 医療+介護の年間上限 | 健康保険窓口 |
| 補足給付 | 施設の食費・居住費を軽減 | 市区町村 |
| 区分変更申請 | 適切なサービス量の確保 | ケアマネ経由 |
| 福祉用具・住宅改修 | 9割引きでレンタル・改修 | ケアマネ経由 |
介護保険制度は「申請しなければ受けられない」仕組みです。知っているかどうかで、家族の負担が大きく変わります。
わからないことはケアマネージャーや地域包括支援センターに遠慮なく相談してみてください。専門家のサポートをうまく活用することが、長期的な介護を乗り越えるための第一歩です。